Capital/Core 365-1116


名前を出さないという条件のもとで、ある退役偵察局員はルイ=デ=バシエ大佐(Colonel Ruys de Bassier)が主張する「ゾダーン連邦内にはまだ戦争捕虜が残っている」という内容には一片の真実が含まれていることを認めました。しかし「彼らは自分の意思で残っているのだ」と彼は言います。


「総括からまとめるつもりはないが、どんな戦争であっても不思議としか言いようのない行動をする人はいるのであり、故郷に帰るのを躊躇したりするものだ。戦いの混沌の中に新しい自分を見出したり、新しい場所が気に入ってしまい離れられなくなったり。」退役局員は反逆の罪を負う帝国市民がいると言いかけて話を一度止め、そして付け加えました。「帝国情報局は、第五次辺境戦争時に帝国軍内にゾダーンのシンパがある程度いたことを知っている。それだけでも相当な数になるだろう。」


退役局員は「ゾダーンが戦争が終わってから大分経つにもかかわらず多くの戦争捕虜を抱えている理由を考えてもあまり意味はあるまい。病的な妄想に基づいた陰謀やら諜報やらの物語をつむぐのもいいが、そんなものは大抵安っぽいアクション映画や冒険映画にすぎないのだよ。」


訳注
 どんな戦争であれ、こういう話は珍しくありません。



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