Vland/Vland 138-1118


138-1118に受信。


ヴランド(Vland)の史跡保存局(The Historical Preservation Bureau)がオトゥ・ゼル大学(the University of Ot Zell)エンリ=ダータ教授(Professor Enli Dahtha)の考古学調査を拒否したことでちょっとした騒動がおきています。ダータ教授は、太古種族(the Ancients)とヴィラニの謎めいた shiimsarnii 伝説とを同一視する論文を文明種族研究誌ルラシュ・ガーシャンリ(Lurashu Garshanri)に最近発表したことで知られており、クナシャークリ地域(the Kunashaakri region)を訪ねて教授の説を裏付ける証拠を集めたいと希望していました。しかし、保存局は、同地区の遺跡がダータ教授が行なおうとしている深層調査には耐えられないと判断したのです。


「信じられん」ダータ教授は説明しました。「私がやろうとしている調査は、遺跡に今まで行なわれた調査と比べて、侵蝕的でも破壊的でもない。むしろ、もっと穏やかでさえある。最新の密度測定機(densitometer)などの装備類がが使えるので、測定チームは浮上中のエアラフトから情報収集ができるのだ。一欠片の埃すら壊したりはしないと保存局に約束しよう。保存局は何か隠そうとしているのかと疑ってしまうよ」


保存局の広報官はコメントを拒否していますが、ヴランド領(the Domain of Vland)中からやってくる研究者を阻害したりはしないとのことです。「ダータ教授はすぐに陰謀論を持ち出す」と語るのは、著名な考古学者であり、古代ヴィラニ跡の専門家でもあるケヴィン=イキラ博士(Dr. Kevin Ikira)です。「教授は、ヴィラニの宗教が古代において太古種族と接触したことに端を発している、という非常にあいまいな説を唱え続けている。この説は何百年も前から怪しいとされている。ダータ教授は、次の著作の売上を伸ばすために、悪名を高めようとしているだけなんじゃないかな」


訳注
 shiimsarnii については調査中。
 ヴィラニは第一帝国の母胎となった地域で、歴史の古さと伝統を(良くも悪くも)誇りに思っています。ヴィラニの神話には、神による人類社会への干渉や魔法を操る石と金属の神などが登場します。(「帝国百科」p.19参照)



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